キャリアアンカー

「キャリアアンカー」をご存知でしょうか。
キャリアを選択していく上でアンカー(錨)となるもので、どうしても犠牲にできないコンピタンスや動機、価値観のことです。働き方、ひいては生き方の多様性の源泉になるものだと考えています。
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の教授であるエドガー H. シャイン博士が提唱した概念です。

キャリアアンカーには、以下に挙げるような種類があります。
・専門・職能別コンピタンス(スペシャリスト)
・全般管理コンピタンス(ゼネラルマネジャー)
・自律・独立
・保障・安定
・起業家的創造性
・奉仕・社会貢献
・純粋な挑戦
・生活様式

自分がどのタイプに属するかは、予め定義された40項目の質問に答えれば簡単に自己診断できます。私は初回は書籍の質問表を見ながら診断しましたが、診断サービスを提供しているウェブサイトもありますし、エクセルツールもあるようです。

自分のタイプを知ることで、価値観を可視化し、意識することにつながり、判断軸をくっきりさせる効果があると思います。同僚に診断を勧めたこともありますが、部下や同僚のキャリアアンカーを知ることで、コミュニケーションの取り方、仕事の割り振りを考える材料にできると思います。

私自身は、キャリアに疑問をもつタイミングや、棚卸しを行いたいタイミングなどに数年おきに診断していますが、どうも少しずつ変化してきているようです。あるタイプに極端に偏ることもあるし、複数のタイプの傾向のバランスがじわりと変わることもあります。診断した時々の短期的な傾向で気分が変わることもあるでしょうし、経験を受けて変化することもあるのでしょう。

ところで、キャリアアンカーの真価は、タイプを診断後に実施する、これまでのキャリアに向き合うインタビューにあると思います。
教育、最初の仕事、キャリア上の転機等々について、以下をインタビューしていきます。
1)何を実施したか 
2)それに何を求めたか、選択の理由 
3)望みや長期的な目的 
4)目的に照らした評価
「転機」には、教育、就職、転職などのほか、転機となった仕事・人との出会い・経験など様々なものがあると思います。選択は、自分の意思による場合もあるでしょうし、意図に反したものもあるでしょうが、いずれにしても自分のキャリアです。それに対してどう考えたのかが自身を形づくります。キャリアが長い人は、印象に残ったTOP5などを書き出し、それら経験に対して実施するとよいかもしれません。
インタビューは、パートナーを見つけて実施することが推奨されていますが、私はセルフインタビューを行いました。他者の視点が入るとよいのでしょうね。(参考:ジョハリの窓)

当初は、診断したアンカーのタイプと、インタビューの結果に脈絡がないように見えました。ですが、数年後にメモを読み返したときに、一連の筋が通っているように感じる箇所もありました。見え方が変わることも自身の変化なのかもしれません。

100年時代、キャリアは長いものですし、変わり続けることで存えるのだと思います。
気楽に、焦らずに、自身を客観視してみてはいかがでしょうか。

ご参考:
エドガー・H. シャイン (著), 金井 寿宏 (翻訳)(2013)「キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival) 」

長文になりましたが、お読みいただきありがとうございます。

Kiitos!

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